日本の城の顔ともいえる“天守”が、昔のまま現存する城は全国で12城ほどあり、その12の天守の中で一番古い天守はどれか、まだはっきりは解明されていませんでした。

丸岡城が現存最古でいいのか?

今まで通説として、丸岡城(福井県にある城)が天正4年(1576年)築城で、現存最古といわれてきました。
しかし、慶長18年(1613年)の丸岡城の様子が描かれた絵図には丸岡城天守が描かれていないことが判明。つまり、1613年以降に建設されたということになり、現存最古ではないということがわかりました。
また、平成27年度〜平成30年度にかけて行なわれた丸岡城天守学術調査で、酸素同位体比、木材年輪、放射性炭素年代測定の3つの年代調査の結果、寛永年間(1624年〜1644年)の築ということが分かり、正式に現存最古の天守ではないことが証明されたのです。

丸岡城  丸岡城天守

現存最古の天守?論争勃発!

有力な候補になったのは、松本城(長野県にある城)です。古文書から1590年代建設とされており、現存最古候補から丸岡城が離脱したことで、最有力候補となりました。
しかし松本城は天守の年代調査が行われていなかった為、正式には現存最古の天守と言えませんでした。
それぞれの市はぶつかり合いっていました....

犬山城天守の調査で驚きの発見

犬山城(愛知県にある城)の現存天守は建造年がはっきりとわかっておらず、不明でしたが、
2021年4月に専門家による調査が行われ、木材の年輪、木材加工痕跡を確かめたところ、一階材木は1585年伐採、4階木材は1588年伐採ということが分かりました。
名古屋工業大学大学院教授の、麓和善氏によると、この木材が使用されたということは、天守の竣工は1590年頃だといいます。
犬山市の見解である1537年説、文化庁の1601年説とも異なる建造年代だったのです!
丸岡城を「現存最古の天守」として宣伝してきた福井県坂井市は、
「特定できたのは伐採年次なので、柱として用いるには、伐採後に乾燥させなければ、用材とならない」としていて、「現存最古」の座を譲る気は無いようです。

犬山城天守の詳細

三重四階地下二階の望楼型天守で、付櫓と複合しています。 1618年頃に成瀬氏が入城し、そのころに3階以上を造替し、現在の姿になったといわれています。
地下階は穴蔵になっていますが、とても狭く設計されてます。 天守一重目(一階)は歪んだ台形の形をしていて、長辺約16.3m、短辺約14.5m
と広く、現存天守では第四位の大きさを誇ります。
一階には上段の間、納戸、杉戸があるほか、付櫓との行き来もできます。
天守二重目(二階)は一階と同程度の広さで、長方形。 天守三階は、屋根裏階で、外からは見えにくい。唐破風造りの出窓を設け、明るくしている。
天守四重目(四階)は最上階で、廻緑があります。 天守は付櫓によって横矢をかけて守っています。