現在、東京都の八王子にある八王子城は、怖ろしい伝説から心霊スポットとして知られています。
豊臣秀吉による小田原征伐の際、八王子城の戦い(1590年)で、城内の女性が戦いの敗北を覚悟し、御主殿の滝に身を投げ自殺したという伝説や、八王子城の戦いの際に三日間、近くの城山川が赤色(血)に染まったという伝説があります。

しかし、断定はできませんがこれらの伝説には疑わしいところがあります。

飛び降り自殺伝説

城内にいた女性たちが、御主殿にある滝に身を投げて自殺したという伝説がありますが、これは嘘である可能性が高いです。
なぜなら、“女性が御主殿にいるはずがない"からです。御主殿は、八王子城の山麓に位置しており、戦時には最前線となる場所です。そこに女性がいるはずがありません。
また、八王子城内にいる女性のほとんどは北条家臣の妻子であり、戦時には家臣が裏切らないようにするための人質となります。 北条氏にとっては大事な存在なので、城の中核部などで大切に守られているはずです。しかし、戦の最前線である御主殿に女性を置くことは考えられません。

また、豊臣秀吉は、八王子城攻略部隊の前田氏に「女性たちは捕虜の後、見せしめのために小田原に連行せよ」と命じているため、女性たちは捕らえられてしまっていたと考えられ、滝に身を投げる余裕があるのか不明です。

まとめ-滝自殺伝説は疑わしい

八王子城に行って実際に滝を見たことがありますが、滝は想像以上に低く水量も少なく、飛び降りても骨折で済んでしまいそうな感じです。
人々が虚偽な情報を広めてしまった、創作伝説であったとも思われます。
しかし八王子城の戦いでの戦死者は、680名(『大善寺過去帳』)などとされていて、『関八州古戦録』でも、前田軍が280、上杉軍が273の首級をあげて秀吉に報告したとあり、 八王子城で多くの人が亡くなったのは事実です。

山の麓の村では「城山川の水で米を炊くと赤くなる」という言い伝えもあります
。今でもこの地域には、先祖を供養する際に赤飯を炊く「あかまんま供養」という習慣があると言います。 。



>>>近くに八王子霊園がある


八王子城の場所

心霊スポットとして名高い八王子城